バーナム効果は心理現象のひとつで、占いをやったことがある方ならきっと経験があるはずです。心配事を抱えている時や大きな決断をしなければいけない時、占いのアドバイスが欲しくなる方は多いですよね。
そこで今回は、占いの結果を上手に活かすためにも知っておきたい「バーナム効果」と人間心理との関係について詳しくご解説していきましょう。
バーナム効果の特徴について
「バーナム効果」とは人間心理に関係することであり、次のような特徴があります。
バーナム効果とは?
「バーナム効果」とは心理現象のひとつで、誰にでも当てはまる説明や記述などが自分だけに当てはまると感じることです。わかりやすい例を挙げると、占いで一般的に言われることが鑑定結果に含まれていると、まさしくその通りに感じるという心理現象です。
バーナム効果の特徴は、記述が曖昧なところ、たとえば性格描写なら「優しい人」「明るい人」など、ざっくりした表現でも自分だけに当てはまっていると思ってしまうことです。
バーナム効果が心理的に働く理由としては、占い師などの専門家からの言葉で信憑性が高いこと。また、肯定的な言葉は一般的に信じられやすい傾向があり、バーナム効果は比較的ポジティブな内容のほうがよく働くといわれています。
人は曖昧な表現ほど自分に都合よく解釈したい生き物なので、経験や今の状況に合わせて占いの鑑定結果を受け入れることがよくあります。バーナム効果は、営業、人材育成、マーケティングなどのシーンでも活用されることがあるようです。
メリットについて
バーナム効果を活用した例は色々とありますが、メリットとデメリットの両方が考えられます。まずメリットですが、人間関係において信頼関係を構築しやすくなる点が挙げられます。
たとえば占い師に相談する場合、初対面なのにバーナム効果により自分のことをよく理解してくれる人だと感じ、距離が縮まるケースがあります。
カウンセリングも同じで、相手の心を開くためにバーナム効果が活かされることも。信頼関係ができると、コミュニケーションはより円滑になりますので、普通の会話も楽しくなりますよね。
また、マーケティングの場合は、特定の商品が自分に向けられたものだと感じて関心が高まることがあります。バーナム効果で相手の心理に上手に働きかけると、受け手もポジティブな気持ちになるのでメリットが多いでしょう。
占いの結果のように、自分のよいところを刺激されると最終的に自己肯定感につながることがよくあります。
デメリットについて
バーナム効果があからさまになると、心理的に相手に不信感を抱く可能性があります。とても慎重で冷静な人なら、不安を煽る言葉だと感じて距離を置きたくなるかもしれません。
バーナム効果は、一般的で抽象的な表現が多いため、そのままコミュニケーションを続けると相手が本来知りたいことや気になっていることなど、ニーズを見逃すこともデメリットになるでしょう。
経験の浅い占い師に抽象的な鑑定をされると、何となく不信感を抱いてしまいますよね。また、ターゲットを絞りすぎた状態でバーナム効果を使うと、メリットになる部分が弱まる可能性もあるため、ターゲットの選び方にも注意が必要です。
「あなたはとても我慢強い人ですね」と多くの人に当てはまることを繰り返し言うと、言葉の大切さがわからなくなることも。結果的に信頼関係を構築できないこともデメリットになるでしょう。
プラシーボ効果との違い
「プラシーボ効果」は、思い込みにより身体的な違いや変化が起こるもので、医学的なシーンでよく使われる言葉です。たとえば効果が期待できない薬でも、医者から効き目のある薬だと言われるとそう信じてしまい、問題が改善したように思う現象。
バーナム効果も一見同じように感じられますが、バーナム効果は一般的で曖昧な記述を自分だけに向けられたものだと思うことです。
どちらも心理現象で、うまく活用するとメリットが実感できることもあります。プラシーボ効果は、身体的な変化を引き起こしますが、バーナム効果は精神的に自己肯定感を高めるといった効果が期待されます。
確証バイアスとの違い
「確証バイアス」は、自分が正しいと思うものに合致する情報を求めてしまうこと。信念に反するものを否定したり無視したりする傾向が「確証バイアス」と呼ばれています。
バーナム効果と似ている部分はありますが、違った要素もあり、確証バイアスの場合は既に知っていることを優先して受け入れるので、偏った考えにつながることもあるでしょう。
占いとの関連性で見ると、確証バイアスが強いと自分に都合のよい情報や期待する鑑定結果だけを集めてしまう状態に。否定的なことを言われると無視してしまう場合もあります。
たとえば血液型占い。自分が信じ込んでいる血液型の特徴と合う情報ばかり意識するので、認識と異なる鑑定をされると受け入れたくなくなるでしょう。
そんな傾向が強い人は、常に複数の情報源から知識を得て多角的に判断するよう意識することが大切です。
バーナム効果が活用されるケースとは?
バーナム効果が活用されるシーンは、日常の中に色々とあります。人間心理における興味深い部分でもありますので、バーナム効果が働くケースについてそれぞれご紹介していきましょう。
占い
バーナム効果が心理的に働くケースとして一般的なのは「占い」です。占いの鑑定で誰にでも当てはまることを言われても、なぜか自分だけに該当する気分になることも。
「一見はっきりしているようでも繊細な内面の持ち主ですね」「不安を感じることがたまにありませんか?」など、曖昧ながら自分にぴったり当てはまっていると思ってしまいます。
人間は、基本的にポジティブなことは喜んで受け入れますが、ネガティブなものは避けたくなるものです。占いの結果がいいと更に受け入れやすくなり、占いにより自分を高めることもできるでしょう。
慕っている占いの先生の言葉なら余計に信じたくなることも。「今年一年素晴らしいことが連続しますよ」などと言われると、モチベーションも高くなりますね。
おみくじ
おみくじを引いて読むと、なぜか個人的なメッセージが書かれているように感じませんか。バーナム効果が心理的に働くおみくじは、一般的な表現が多いのですが、客観的に解釈すると抽象的な表現が多いです。
たとえば恋愛について「努力すれば叶うでしょう」や、仕事運について「慎重に判断してください」など、誰にでも当てはまるようなことが書かれている場合もあります。
人生が順調な人、逆にうまくいっていない人、どちらにも当てはまるような内容も。おみくじは、未来が予測できるかどうかではなく、自分自身と向き合うチャンス。
初詣などでおみくじを引くことがよくありますが、そのような機会でおみくじの本当の価値を知ることができそうですね。たとえ「凶」が出ても、現在の悪い状況を乗り越えて好転させるという希望のメッセージにもなるので、おみくじは心構えとして解釈すると尚よいでしょう。
血液型診断
血液型診断はとてもポピュラーで、バーナム効果が強く働くといわれています。とても曖昧な解釈なのですが、血液型ごとの性格や特徴は自分に当てはまるものも多く、知り合いや家族など、身近な人について知る際にも血液型診断はよく使われます。
一般的なのは「A型は几帳面」「B型はマイペース」「O型は大らか」「AB型は二面性がある」といった内容。特徴的なものではありますが、A型にも二面性を持つ人はいますし、B型でもストレスを溜めやすい神経質な人もいます。
また、血液型診断によくある現象は、血液型ごとの特徴を理解すると「自分はそういう人間なんだ」という思い込みが始まること。自己暗示のようになり、その血液型に合う行動をとるようになる場合もあります。
血液型と性格の関係性には、科学的な根拠はないといわれていますが、なぜか血液型で人を見ると納得できる点は色々とありますよね。
恋愛
バーナム効果が心理的に働くのは、恋愛も同じです。占いや性格診断と同じで、恋愛傾向を雑誌やネットなどで調べると、自分にぴったり合った内容が見つかります。
恋愛診断の場合、曖昧で一般的なものが多いのですが、「しっかりものだけど甘えん坊」と言われるとまさに自分のことだと感じますよね。また、「相手に振り回されずもっと自分を大切に」とアドバイスされると、全く疑問を抱かずそのように振る舞うことも。
バーナム効果は、恋愛関係にある人同士でも「私たち、大人しい性格が似ているよね」などと曖昧なポイントを突かれると、自然と相手を意識するようになります。
告白したり気持ちを伝えたりする際にも、無意識にバーナム効果を使っていることがあるかもしれません。
占いが好きな人の特徴
占いは、困ったことがあった時や悩み相談などで活用したくなることがあります。また、日常的に占いをするのが好きな人もいますが、特徴としては次のポイントが挙げられます。
不安がある
将来の漠然とした不安を取り除くために占いをすることがありますよね。とくに占いが好きな人は、鑑定結果を頼りにすることも多く、よいことを言われると不安が解消されて普段の生活が安定します。
多くの人は、悩みや不安があると自信がなくなりますよね。とくに決断しなければいけない時期になると、占いで後押ししてもらいたくなります。
どちらにしようか迷う時、どちらも選べない場合に占いの鑑定で決定することはあるでしょう。それは、行動のきっかけ作り、または将来の不確実な不安に対して運命を具体化したい思いがあるためなのです。
好奇心が強い
占いが好きな人は、新しいことに興味を持ちやすい傾向があり、占いで積極的に新たな領域を探求したい思いがあります。自己成長のために色々なことに挑戦するタイプで、仕事も勉強もモチベーションが高い人といえます。
占い好きな人の中には、とてもポジティブで失敗を恐れないタイプも多いです。好奇心が強い人もその傾向があり、占いの結果が悪くても積極的にリサーチして行動に移すことも。
他人の意見を受け入れやすく、多様な視点であらゆることを解釈したり捉えたりすることができるタイプです。
スピリチュアルなものが好き
占いが好きな人は、スピリチュアルなものを好む傾向があります。お守りを持たないと不安、パワースポットによく行くなど、目に見えないエネルギーを信じており心の支えになっているともいえます。
「運命」を信じるので、納得のいかないことが起こっても自分の中で解釈して消化できるでしょう。このタイプの人は、ドラマチックな人生を期待する部分もあり、運命の転機を待っている場合もあります。日常生活で得られないものを神秘的な体験などで補っているのでしょう。
誰かと話したい
占いが好きな人は、誰かと話したい気持ちがあり、身近な人には話しにくい悩みなどがあるのかもしれません。プライベートなことほど誰かに聞いてもらいたくなることもありますよね。
占い師ならプライバシーを守ってくれますし、適切なアドバイスもしてくれます。また、誰かと話すことで「あなたは頑張っているから大丈夫ですよ」など、ポジティブな言葉をかけてもらいたいと思うこともあるでしょう。
自己肯定感を高めたい人は、占いで定期的に欲求を満たすことも。占いは、予言や未来の予告だけではなく、他者とのコミュニケーションの機会をもたらす側面もあり、利用者によって目的は若干異なるでしょう。
占いを信じない人の特徴
バーナム効果で心理的に占いが当たっているように感じる人は多いのですが、必ずしも全ての人がそうであるとは限りません。中には占いをあまり信じない人もいますので、その特徴を詳しく見ていきましょう。
合理的な思考の持ち主
占いを信じるか信じないかは人それぞれで、その時の状況や思考パターンも影響しています。合理的な思考を持つ人は、データや事実など、科学的根拠がないと物事を信じないタイプ。
運命やオーラなど、目に見えない抽象的なものの概念はあまり重視しないタイプです。「今年はうお座の人が仕事で成功する」というようなことを言われても、結果につながる過程がないと信じられません。
占い鑑定よりも自分の努力がなによりも大切だと思っており、物事の因果関係を重視しています。
自分で判断したい
占いをあまりやらない人は、他者の意見で自分の人生を決めたくないと考える傾向があります。自分でリサーチしたことをよく解釈して決断するタイプ。
占い師に「今年の転職はおすすめではありません」と言われても、いい仕事があれば自分で決断を下して主体的に生きていきます。基本的に誰かのせいにしたくない思いもあるのでしょう。
結果がよくても悪くても、自分で決めたことだからと納得したいことも占いに頼らない理由かもしれません。
占いの結果を活かすコツについて
バーナム効果の影響で、心理的に占いが合っている気はするものの、実際は占いの鑑定結果を上手に活かすことがポイントです。「何となく」という感覚的なもの以上に、占いを上手に利用して人生を充実させてみましょう。
絶対的な答えにしないこと
占いの結果は受け止め方がとても大切で、どれほど説得力がある内容でも絶対的な「答え」にしないことがコツです。あくまでも自分の人生なので、占いは「アドバイス」として解釈するとよいでしょう。
たとえば今が新しいことを始める時期だと言われたら、いきなり趣味を始めたり旅行をしたりするのではなく、何をやりたいか考えるきっかけにすること。実際に占いの結果通りに行動するかは自分次第です。
悪い結果もポジティブに解釈する
占いをやらない人の中には、悪い結果を知りたくないという理由がある人も。「今付き合っている人とは結婚までいかないでしょう」と言われると、急にテンションが下がってしまいますよね。
たとえ否定的な内容でも、悲観的に捉えるのはおすすめではありません。大切なのは、今後の注意点や改善点に気づくこと。そして悪い鑑定内容は未来の暗示ではなく警告として解釈すると、気分も前向きになるでしょう。
占いの鑑定結果によりお守りを持つなど、生活に何かを取り入れることもできます。悪い結果が出た時は、行動を起こして運気の流れを変えることが大切です。
占い師に理由を聞いてみる
もし占いで悪い結果が出たら、占い師に「理由」を聞いてみることもひとつの方法です。結果だけを聞いて自分なりに解釈するよりも、占い師がなぜそう考えたのか、少し踏み込んでみるのもよいでしょう。
経験のある占い師と新人では判断が若干異なるかもしれませんし、占い師の人生観によっても変わってくることがあります。人それぞれ主観が違うように、占い師の鑑定も変わってくるでしょう。
しかし悪い結果について丁寧にアドバイスしてもらえれば、多少見方は変わってきますよね。気になる場合は、同じ相談内容で他の占い師に鑑定してもらうことも可能です。
占いのメリットについて知ることが大切!
バーナム効果は、心理的に占いが当たっているように思う現象ですが、ポジティブに捉えることで占いが自己肯定につながるメリットもあります。
悪い鑑定結果は無視したくなりますが、その際にポジティブに物事を解釈する心がけも大切です。占いは心理的な作用もありますので、自分の性格や思考パターンを理解したうえで、メリットをたくさん実感してみてくださいね。
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